更年期障害
更年期障害
日本人の平均閉経年齢は、50歳ごろにあたり、閉経前後の5年間を更年期と呼び、この期間に現れる様々な症状の中で、他の病気での症状ではないものを更年期症状といいます。さらにその中でも症状が重く日常生活に支障を来すものを更年期障害といい、更年期障害の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下、また年齢に伴う体の変化と精神的・心理的な要因、社会文化的な環境因子が複合的に影響することで症状が出ると考えられています。更年期障害は心理的、身体的、社会的因子が複雑に関与して発症するといわれており、治療では十分な問診が必要となります。そのうえで生活習慣の改善や心理療法を行い、改善がみられない場合に薬物療法を行うのが一般的です。薬物療法では、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬などが用いられることもあります。
更年期障害は女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に低下することで起こります。エストロゲンの減少はいずれの症状にも関与しますが、特に自律神経失調症状との関連性が強く、精神神経症状はホルモンの変化以外にも心理的、環境的要因が強く関与しています。
まずは、現在困っている症状や月経の状況を問診で確認します。必要に応じて、血中ホルモン濃度や甲状腺機能などの血液検査、子宮頸がん検診、超音波検査をします。現在の症状が他の疾患から起きているものではないと判断した場合、更年期障害と診断し、治療に移ります。
薬での治療法としては、サプリメントやプラセンタ、漢方、ホルモン補充療法があります。月経があるのかどうか、症状や希望に応じて治療していきます。
サプリメントとは不足しがちな栄養素を補うことを目的としたものです。エストロゲンに類似した働きをもつとされる大豆イソフラボンをもとにしたエクエルが挙げられます。
プラセンタ注射には、アミノ酸、核酸、塩基、ミネラルなどが、含まれていることは分かっていますが、現時点では有効成分としての特定の物質は同定されていません。今の所、分かっている成分と未知の成分が複合的に作用して色々な効果があるのではないか?と考えられています。
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。多彩な症状を訴える更年期女性に対しては、「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸が有名ですが、それ以外にも様々な種類の漢方薬があり、症状と診察でそれぞれにあった漢方を選択していきます。
更年期障害の主な原因がエストロゲンのゆらぎと減少にあるため、少量のエストロゲンを補う治療法(ホルモン補充療法:HRT)が行われます。HRTは、ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗などの症状に特に有効ですが、その他の症状にも有効であることがわかっており、現在の月経の状況や子宮の有無によって投与法が変わります。また、ホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬がありますので、よく話し合いながら、その人に合った治療法を選択します。